« 2011年12月 | トップページ | 2012年3月 »

2012年1月

Orchestra CONSONO 第一回演奏会を終えて

 昨日、表記の演奏会が終了しました。ご来場くださった方々には、こころより御礼申し上げます。

 予想以上のお客様に来ていただいて、会場は7割の入り。このくらいだと、見た感じは「しっかり入っている」です。初めてのコンサートなのに、会場に来ていただいたたくさんのお客様を見て、少し胸が詰まりました。

 コンサート自体は、面白いと感じて下さった方が多かったように思います。特に、ベートーヴェンは、かなり型破りな作りでしたので、びっくりされた方も多いでしょう。

 津留崎さんのハイドンは、まさに「津留崎ワールド」全開! こんなにこだわりとオーラがある演奏家とご一緒できて、本当に幸せでした。

 私の目標は、それぞれの曲の構造や意図ができるだけストレートに感じられる演奏を創ることでした。それが、かの偉大なる作曲家の音楽が持つ良さを引き出すことになると思ったからです。練習もそのことが中心で、意図通りにいったところも多いのですが、ディテールに割く時間が足りませんでした。この点は、私の力量不足だろうと思っています。これから、さらに改善していこうと思っています。

 こんなコンサートができたのも、一緒に走ってくれた仲間たちのおかげです。どんなに感謝してもしきれません。これから、さらによいオーケストラにすべく、精一杯頑張ろうと思います。



| | コメント (0) | トラックバック (0)

玉木宏樹さんを悼む

 作曲家でヴァイオリニスト(というより「純正律研究所」を主宰している、と言った方がいいだろう)の玉木宏樹さんが亡くなられた。まだ68歳。もっともっと活躍して欲しかったと思う気持ちでいっぱいだ。

 氏とは、生前に何度かお会いした。とはいえ、ゆっくりお話をしたのは1回だけだが。音楽業界では異端児扱いされていたが、その知識量と実力は、遺された多くの曲や学習者用の楽譜を見ればわかる。極めつけの「頑固者」だったが、敢えて「過激派」を装っていた面もあるのではないかと思う。「世の中のヴァイオリニストは全員、音程が悪い」と言い切ってしまうその発言は、音楽界に対する、彼なりの危機感の表れだったのだと思う。「音程がよいヴァイオリニストは誰ですか?」「俺しかいないに決まってるだろう」という言い方は、彼の傲慢ではなく、世の中のヴァイオリニストが音程に関してあまりにも無関心すぎる、という彼の憤りがさせた発言なのだろう。

 氏とゆっくりお話ができたのは、ストリング誌に連載を書いていた時のことだから、もう10年近く前になるだろうか。音程についての連載を、当時の(今もかな?)青木編集長が考えていて、「音程の教育は間違っている」と考えていた私との「対談」を企画していただいたことがきっかけだった。対談、と言っても、玉木さんと私では、その知識量と経験値には大人と子どもほどの違いがあったので、私が言いたいことを言った後は、主に玉木さんの話を聞く側にまわった。そのときに、玉木さんと私でピアノ(電子ピアノで音律を変えられるもの)とヴァイオリンを取っ替え引っ替え、いろいろと曲を音律を変えて弾いて、私に音律の違いを実戦的に経験させていただいたことは、私にとって貴重な体験だった。(その後、飲みにいったときに、中東問題で大論争になったことも懐かしく思い出される。お互いにたいがい頑固者なので、価値観の違いに到達すると譲らないのだ。)

 世の中が「総思考停止状態」になっている日本の現状を考えると、彼のような存在は貴重だった。私とはかなり考え方が違ったのだが、それでも、拝聴すべき情報を発信し続けていたと思う。

 日本の音楽界は、また、貴重な人材をひとつ、失った。

 心よりご冥福をお祈りします。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

オーケストラCONSONOのコンサートまであと1週間!!

 来る22日に、オーケストラCONSONOの初めての演奏会があります。私の活動をご存知の方なら、発表会もずっと「CONSONO21」という名前で行なってきましたので、この名前にピンと来たはずです。

Orchestra CONSONO 1st Concert

W. A. Mozart Symphony No. 41  in C Major, K.551
F. J. Haydn Cello Concerto No. 1 in C Major, Hob. VIIb/1
L. v. Beethoven  Symphony No. 5  in C minor, op.67

チェロ独奏  津留崎直紀
指揮 柏木真樹

1月22日(日)13:30 開場  14:00 開演
第一生命ホール(晴海トリトンスクエア)
入場料 100円(終演後に、コンサートを面白いと感じていただけた方には、寄付をお願いしています)

 実は、新しいオーケストラを作りたいという気持ちは、20年前から持っていました。ちょうどその頃、方針の違いでそれまでいたアマチュア・オーケストラをやめてから、きちんとした音楽ができるオーケストラを作りたい、という気持ちを持ち始めたのです。当時は私もアマチュア・プレーヤーでしたから、指揮をする、ということではなく、自分がリーダーをやるオーケストラを作りたかったのです。当時の音楽仲間には「40になったら、新しいオーケストラを作る!」と宣言していました。その後、私の音楽的な事情が大きく変化し、プロの指導者として、そしてアマチュア・オーケストラのトレーナーとしての経験を積んでいく間に、考え方が少しずつ変化していきました。

 最初は、漠然と作曲家の意図を十分に理解した演奏がしたい、と思っていただけだったのですが、そのうちに「音楽的な常識をきちんと身につけた演奏をしたい」という気持ちが強くなりました。その気持ちが強くなった背景には、バロック音楽の理解を自分なりに深めたことや、音律に対する知識や経験を積んだことがありました。音楽的な「常識」に、歴史的な「筋が通った」と感じたのです。

 私たちの世代(50代)がヴァイオリンを習った頃(1960~70年代)は、古典派以前の音楽に対する「常識」はかなりいびつなものでした。19世紀最後から20世紀初頭にかけて完成したモダン奏法や、その後の「演奏ロマン主義」(注)の影響で、ヴィヴァルディであろうとバッハでやモーツァルトであろうと、とにかくロマンティックに演奏することが「正しい」とされていたのです。フェリックス・アーヨ率いるイ・ムジチ合奏団のヴィヴァルディがもてはやされ、ワルター・バリリ四重奏団のモーツァルトやベートーヴェンやフルトヴェングラーやクレンペラーのベートーヴェンが「最高」とされていました。作曲者の発想記号やテンポのイメージは軽視され、「精神性」というわけのわからない言葉が音楽の評価の中心であったりしたのです。

(注)演奏ロマン主義:これは、私の造語です。私は、演奏者の表現が重視され、作曲家のイメージが軽視される傾向にあった1960年代ごろまでの演奏スタイルをこのように呼んでいます。ベートーヴェンが八分音符=80と指定している第3交響曲の第2楽章などは、八分音符=60以下のテンポで演奏されることすら少なくありませんでした。また、全ての音にヴィブラートをかけることがもてはやされたのです。もちろん、時代がそれを望んだということも否定できませんが、結果的には、作曲者が意図した音楽とは全く別のものになっていたことは間違いありません。

 そのような時代背景の中で育った私たちは、ヴィヴァルディを弓先のデタシェで演奏し、モーツァルトをヴィブラート全開で歌うことが「正しい」と思っていました。それがひっくり返ったのは、ベーレンライター版などの原点版の普及と、作曲者が生きた時代の演奏を目指した演奏家が増えたことが大きな要因でした。そこには、それまで私たちが学んだ音楽とは全く別の世界が広がっていました。

 人間は、強い刺激に慣れると、それ以上の刺激を求めるようになります。音量は次第に大きくなり、ヴィブラートは派手になり、遅いものはより遅く、速いものはより速く、という傾向が強くなるのです。そうして歴史を重ねる間に、音楽は作曲者がイメージしたもとのは似ても似つかぬものになりました。こうした歴史の流れの中で、「作曲者が何を思っていたのかを見直そう」と考える音楽家も増えてきました。中には、古楽器を使うだけでなく、演奏会場もその時代の大きさ、響きにこだわって選択する演奏家もいます。

 しかし、私たちは、ピリオド奏法(古典的な楽器を使って弾く奏法)を取り入れるわけではありません。私たちが使っている楽器はあくまでモダンの楽器であって、ピリオド奏法が相応しいとは思えないからです。モダンの奏法を使っていかに作曲者の意図を表現することができるか、というのが、私たちの目標です。そして、それこそが、私たちが作曲者が遺した宝物の素晴らしさを体験できる、唯一の方法ではないかと思うからです。

 練習は、音楽的な「センス」をいかに磨くか、ということに注意し、作曲者の意図を理解する、という目標を置いて続けてきました。フレーズの取り方、ヴィブラートをかけないことなど、最初はメンバーもだいぶ戸惑っていたようですが、少しずつ、形になってきました。ただ、やはり始めてのコンサートで、オーケストラとしてのアンサンブル能力が鍛えられていません。2回、3回と続けていくうちに次第に良くなっていくのだと思いますが、この点だけは克服できたとは思えません。そのことが、心残りではあります。

 しかし、この名曲を、最初のコンサートで取り上げられることは、至上の喜びでもあります。来場されるお客様に、ベートーヴェンやモーツァルト、ハイドンの名曲の素晴らしさが、少しでも感じていただければ、と思っています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年12月 | トップページ | 2012年3月 »